街なかには「空き家」と呼ばれる建物がある。昔どんなお店だったのだろう、どんな楽しい会話が繰り広げられていたか、そんな事に思いを巡らせると、その呼び名の持つ少し苦い印象とは違って、とてもスイートな気分になる。もう「空き家」なんて呼び方はやめて建物の特徴から連想するスイーツみたいな呼び名にしたらちょっと面白い。いつしかそんな視点で建物を見るようになっていた。そこに新たな活動をインストールして、もっと面白くしよう。そんな発想で合同会社ドーナツ(前橋市千代田町)を起業した。太い共感の輪と、スイートな活動によって「空き家」をみんなから愛されるドーナツのような場所に変える。そんな会社です。
最初に手掛けたのは、小さな庭のある古くて傾いた白い木造住宅。「白い角砂糖みたい」という印象から「SUGAR HOUSE(シュガーハウス)」と命名。誰も見向きしなかった建物は今では若者の手によりDIYされてシェアハウスとなり、草刈された庭はBBQ場になった。
ふたつめは前橋まちなかエージェンシーMMAで運営している複合施設「comm」の隣、外壁が真っ黒だった物件。「ビターチョコみたい」という印象から「CHOCOLATE(チョコレート)」という屋号。中央通りアーケードの真ん中なので1階にはお店を入れたいと当初から考えていた。賑わいの演出が難しい2階はシェアオフィスに。そんな構想をしていた時に今の出店者や入居者たちと出会い、仲間達のDIYによって手作り感満載な建物に生まれ変わった。
ひとりでは難しいSDGsも、街や建物の再生も全ては共感の輪があってこそ成せること。私はドーナツ的スイートな場づくりを通して前橋のビジョン推進に取り組んでいく。