辻 直人

並里成と同じチームでプレーする夢をついに叶えた

稀代のシューターである辻直人の群馬クレインサンダーズへの移籍は、Bリーグファンの間でも大きな話題になった。昨季は、3Pシュートの成功率38・9%とリーグ7位の成績を残し、広島ドラゴンフライズ初のCS進出に貢献した。広島の顔でもあった辻が、サンダーズへの移籍を決めた理由は、並里成と同じチームでプレーしたいという長年の夢を叶えるためでもあった。

 

まもなく始まる新シーズンに大きな期待が寄せられる辻選手(写真提供・群馬クレインサンダーズ)

「いつか二人で一緒にプレーしたい――」

並里成と同じチームで一緒にプレーするという辻の夢がようやくかなった。

辻が、並里を知ったのは、高校1年生の時。福岡第一高校で1年からポイントガード(PG)としてスタメン出場していた並里を見て、「ヤバイ」と思った。つい最近まで中学3年生だった同年代の選手が高校で活躍している姿に衝撃を受けた。

二人が親しくなったのは、高校3年生の時。中国で開催された「日・韓・中ジュニア交流競技会」の日本代表活動だった。2人部屋でルームメイトになった辻と並里は、代表活動中にさまざまな話をしたのがきっかけとなった。

高校卒業後に、並里はスラムダンク奨学生第1号として渡米。辻は青山学院大学に進学した。当時は、LINEもなかったため、互いに連絡を取り合うことはなかったが、並里が日本に戻って一足先にプロになった後、たまに食事をするなど親交を深めた。

辻はシューターとして能力が高く、並里は司令塔として味方を生かすプレーに秀でている。昨季、サンダーズが目標に掲げていたCS進出を逃した1つの要因にシューター不足がある。今季、B1優勝を目標に掲げたサンダーズは、辻の獲得に動いた。

辻は昨季、広島のキャプテンとしてチーム初のCS進出に導く活躍だったものの、若返りを図るクラブの方針もあり、サンダーズへの加入を決意した。9月8日で34歳になる今年、並里と同じチームでプレーしたいという願いがついにかなった。

2021年、広島に移籍した時は、知り合いが誰もいない中で、チームに馴染むのに苦労した辻だったが、サンダーズには並里がいる。大学の後輩で、川崎時代のチームメートだった野本健吾もいる。開幕を前にすでにチームに馴染んでいる様子がうかがえる。

「サンダーズには素晴らしい選手が揃っているし、人としてもいい選手が集まっています。本当にいいチームになりたいし、シーズンが終わった後に、心からいいチームだったと思えるようになりたいです」

辻が目指すのは、Bリーグになってから一度も手にしたことがない優勝のタイトルだ。

つじ・なおと

1989年9月8日生まれ、大阪府出身。洛南高時代は2年次にウインターカップで優勝し、3年次に二連覇を達成した。青山学院大時代は1年次から試合に出場し、3年次に全日本大学バスケットボール選手権大会で優勝し、優秀選手賞とスリーポイント王を受賞。4年次には同大会で二連覇に貢献し、MVPを受賞。卒業後の2012年に東芝ブレイブサンダーズ(現・川崎)に加入。13年に日本代表にも選出された。21年に広島ドラゴンフライズに移籍。昨季はキャプテンとしてクラブ初のCS進出に貢献した。185㎝・82㎏、ポジションはSG、背番号9。

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