リーグ屈指の3ポイントシューターの活躍が、CS進出の鍵を握る
群馬クレインサンダーズが目標にするチャンピオンシップ(CS)に進出するためには、東地区2位以内、もしくは各地区2位を除いた東・中・西の3地区を合わせたワイルドカードの2位以内に入らなければならない。東地区の1位がA東京、2位が宇都宮といずれも32勝で、21勝のサンダーズが2位以内に入るのは難しい状況。狙うのはワイルドカード2位以内だ。その1位は千葉Jの25勝、2位は島根の22勝。3位SR渋谷~7位のサンダーズまで21勝と5チームが同じ勝数で並ぶ。サンダーズのCS進出の可能性は十分ある。今回は、チームの好調を牽引するベン・ベンティル選手を紹介しよう。 (星野志保)
「今日は集中してプレーでき、チームを助けられてよかった」
2月11日の大阪エヴェッサ戦後にこう語ったベンティル。会見場に現れた瞬間、甘くさわやかな香りが漂い、周りを包み込むような温かい笑顔で記者の緊張をほぐしてくれた。ベンティルは、人間味あふれる選手でもある。
直近10試合を見てみると、9勝1敗でチーム力が一段と上がったサンダーズ。その原動力になっているのがベンティルの存在だ。
今季、加入しシーズン序盤の10月21日の三遠戦から右大腿骨骨挫傷で全治4週間のケガを負った。彼が戦列を離れていた時のチームの成績は3勝7敗と低迷。同時期にエースのトレイ・ジョーンズもケガで戦線離脱しており、チームは苦しい状況が続いた。
しかし、12月2日のFE名古屋戦でジョーンズと共に復帰したベンティルは、徐々にコンディションを上げ、ここまでの3Pシュートの成功率47・9%と驚異的な数字を叩きだしている。リーグ戦出場の85%を満たさないため、B1リーグの3Pシュート成功率ランキングには載らないものの、1位の42・5%を超える数字だ。
ベンティル獲得の理由を水野宏太ヘッドコーチは「これまで彼がいたユーロリーグのチームは、常に国内で優勝争いをしなきゃいけなかった。だからこそ、彼は勝つために何が必要なのかを分かっている。優勝も経験している。中からも外からもシュートを打てるというのもチームの武器になると思った」と語っている。
ベンティルが3Pシュートを得意とするのには理由があった。
ユーロリーグでは、相手の守備2人がベンティルにマークにつくことが多く、ペイントエリアに入ることが厳しかった。そこで、「どうしたら自分がスコアできるのか」と模索したところ、3Pシュートの必要性に気づき、その成功率を上げていった。そのシュート力の高さが、サンダーズの勝利に貢献している。
チームのために「目標に向かって全員に自信を持たせること」を意識しているベンティルが、これまで磨いてきたテクニックと精神力で、CS進出へと導いてくれるだろう。