サンダーズが群馬にあることを誇りに思ってもらえるようなチームにし、スポーツを通じて人生の喜びを 一人でも多くの人に一緒に感じてもらいたい(vol.8)

群馬クレインサンダーズヘッドコーチ
水野 宏太

能力の高い選手がいくら揃っていても、彼らやスタッフ、チームに関わる人たちの信頼を得られなければ、結果を出すのは難しい。サンダーズの文化を作るために奮闘している水野宏太HCの真摯な人柄は、試合後の記者会見でも垣間見ることができる。水野HCの指導論の3回目は、人間性について触れる。             (星野志保)

試合に敗れても、観客に感謝の気持ちを表し、丁寧にあいさつする水野HC(2023年1月18日、A東京戦、太田市運動公園市民体育館)

1月18日のアルバルク東京(A東京)戦後、試合に敗れたにもかかわらず会場で応援してくれた観客に対し、敗因を語り、修正点を述べ、応援してくれたことに感謝の気持ちを表していた水野HC。そのことについて、こう話す。 「人生は皆さんにとって有限な時間。その限られた時間の中で、僕たちと一緒に同じ場所、同じ時を共有したいと思って会場に来てくれているので、その感謝の気持ちを伝えたいと思っています。僕は本当に強い思いを持ってこの群馬に来ました。群馬クレインサンダーズがこの群馬にあることを誇りに思ってもらえるようなチームにして、スポーツを通じて人生の喜びを一人でも多くの人に一緒に感じてもらいたいと思っています。試合に勝とうが負けようが感謝の気持ちは変わらないです」

A東京戦では、前半までは接戦となる好ゲームを展開しながら、後半は納得できないレフリー(審判)の笛に、感情をコントロールできない選手も見られた。水野HCはその選手をベンチに下げたと同時に、すぐに彼のところに行き、話をしている。

そして、「ゲームの質や自分たちのパフォーマンスを考えた時、思い通りにいかない時などに、自分たちが我慢しきる力がまだない」と課題を直視した。

次節の1月21、22日の京都ハンナリーズ戦では、A東京戦での反省を生かし、2連勝を収めている。22日の試合後の会見で水野HCは、「両日とも3Qに、相手に流れを取られるような状況になってもしっかりと流れを取り戻して、自分たちのゲームにすることができた。ゲームの終盤や後半の精神面での戦い方が少しずつチームの中で意識されて、戦っていけるようになった証」とチームの成長を口にした。

トライ&エラーを繰り返し、少しずつ成長しているサンダーズ。チームの課題に向き合い、選手やスタッフたちと対話を重ね、応援してくれる人たちに感謝の気持ちを見せることが、サンダーズの文化を作る上での重要なカギとななっている。

みずの・こうた

1982年8月2日生まれ、東京都出身。都立駒場高校からウエストバージニア大学に進学し、コーチの勉強を始める。帰国後は、ACとしてリンク栃木ブレックス、男子日本代表、レバンガ北海道で指導の経験を積み、2013-14シーズンにシーズン途中で北海道のHCに就任。2018年からさらにバスケを学ぶためにアルバルク東京のトップACとなり、今季からサンダーズにHCに就任。

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