藤岡北高校 環境工学部

 

部活道に取り組む県内の中学高校生の笑いあり、涙あり、明るく、元気に、真面目に、がむしゃらに…仲間とともに過ごす青春の1ページを全力MAXで紹介します!

ヤリタナゴ保護活動グループに所属する藤岡北高環境工学部部員たち=生徒らが作った校内のビオトープにて

地元の川の環境を守り、絶滅危惧種を救いたい

部長 町田  昇胡(しょうご)
(環境土木科・環境工学コース 2年)

手前は、ビオトープの完成を記念して作ったヤリタナゴの実物大オブジェ

私たち、藤岡北高校環境工学部は、1年23人、2年19人、3年16人が所属していますが、このほかに生徒有志10~15人も参加しています。おもに、絶滅危惧種の魚類で藤岡市の天然記念物でもある「ヤリタナゴ」の保護活動や、市内6河川(神流川、鮎川、猿田川、三波川、温井川、笹川)の魚類を中心とした生物調査を行う部です。通称「さかなクラブ」の名で親しまれ、地元の幼稚園や市内の高校のほか自然保護団体や地域住民との交流なども行っています。

本校には環境土木科「環境工学コース」があり、「生物と人間とが共生できる持続可能な農村づくり」を目標に学習しています。この延長上に、私たちの活動があります。

ヤリタナゴとは、コイ目コイ科アブラボテ属に分類されている黒褐色の淡水魚。マツカサガイという貝に産卵します。国のほ場整備で水路が土からコンクリートに変わり、水質が悪化したことで絶滅の危機に瀕しているのです。私たちはヤリタナゴが自然繁殖できるよう、校内にビオトープを作成。ビオトープ内では市内に生息する魚類や水生生物の繁殖に成功しました。現在、ヤリタナゴの繁殖を目指し、日本でまだ誰も成功していないマツカサガイの繁殖にも挑戦中です。このほかヤリタナゴが生息している市内の笹川では、天敵で特定外来生物でもあるアメリカザリガニを駆除したり、周辺の草むしりなどを行っています。すみかである水路は幅30㎝、深さ10~80㎝くらいの小川なので、草で埋まらないよう維持管理することが重要なのです。

今年度は、昨年12月の全国ユース環境活動発表の関東地方大会で最優秀賞、続く2月の全国大会で2位を獲得するなど、とても充実した一年でした。今後は、ほかの絶滅危機生物も救える部にしていきたいと思っています。

学校敷地内に昨年、ビオトープを作った
ヤリタナゴのイラスト(山口あかり作)。イシガイ科の二枚貝に産卵し繁殖する
藤岡市内の河川の水生生物と魚類のモニタリング調査の様子
資格取得や測量競技大会(測量の正確さと速さを競う)で活躍する部員もいる。写真は群馬県代表として出場し優秀賞を獲得した第72回日本学校農業クラブ全国大会(令和3年10月開催)

ヤリタナゴの保全活動について発表、全国2位に

山口 あかり
(環境土木科・環境工学コース 2年)

2月に、第8回全国ユース環境活動発表全国大会(環境省など主催)に出場しました。環境活動を行う各地区代表の16校がそれぞれの取り組みを発表するものです。

私たちは、ヤリタナゴの保全活動、アメリカザリガニの生態や河川水路の調査とその結果について発表し、最優秀に次ぐ全国2位の「環境再生保全機構理事長賞」を受賞しました。時間をかけ継続して行った魚類のモニタリング調査やアンケートによる啓発など様々な点が評価されました。県代表に決まってからは、発表内容をみんなで考えてスライドや文章を作り、放課後毎日、練習しました。

大会を通じても多くの人にヤリタナゴの現状を理解していただけたことを嬉しく思います。これからも小さな一歩を忘れずに保護活動を続けていきたいと思います。

全国大会でのステージ上で発表

地域とも交流しつつ すべての年齢層に わかりやすく啓発

矢島京介
(環境土木科・環境工学コース 2年)

神流地区町作り協議会に昨夏から参加し、今年2月4日の同地区文化祭では地域のみなさんの前で私たちが行っているヤリタナゴ保護活動についてスライドを用いた発表を行いました。小学生にもわかりやすいように演劇の形でも発表。こうして本校の取り組みに興味を持ったより多くの個人や団体がヤリタナゴの保護活動に参加してくれることで、藤岡市の天然記念物が守られていくと思っています。これからもすべての年齢層にわかりやすく、皆さんが協力したいと思えるような活動に全力で取り組みたいと思います。

地元の幼稚園児を学校に招いて、市内に生息している魚について説明をした
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