笹川裕昭のスポーツコラム(月1回掲載予定)
師の言葉を胸にゴールを狙い続け、チャンスを掴んだJリーガー
チャンスはいつ訪れるかわからない―8月にサッカーJ2・ザスパクサツ群馬に加入したFW 28長倉幹樹(もとき)選手(22)は、まさにそれを体現した選手です。
今春、大学を卒業し関東リーグ1部の東京ユナイテッドFCでプレー。リーグトップの8得点を挙げる活躍が評価され、シーズン途中にザスパ加入が決まりました。とは言え、関東リーグは、J1から数えればJ5=5部に相当するリーグ。「果たしてJリーグでどのくらい通用するのか?」と気になっていたサポーターも多かったはずです。しかし、加入直後の第31節横浜FC戦でデビューを果たすと、続く32節仙台戦で勝利につながる初ゴールを挙げる活躍を見せ、大きなインパクトを与えました。
初ゴールについて長倉選手は、「みんなが連絡をくれた。プロになると見てくれる人の数も違う」と、改めてJリーガーになったことを実感したようです。そんな長倉選手は、高校時代、ザスパの大槻毅監督に、J1浦和のユースチームで指導を受けていました。その頃から、大槻監督には、「ゴールを決めろ!」と常にゴールへのこだわりを植え付けられていました。その言葉通り、ゴールを狙い続けたことでチャンスを掴み、初ゴールという結果にもつなげました。
得点力不足が課題のザスパにおいて、長倉選手のさらなる活躍に期待が集まりますが、長倉選手に自身の特徴を聞くと、ゴールだけではなく、ボールを持っていない「オフ・ザ・ボールの動き」と教えてくれました。ボールを受けやすいポジションをとる、味方がプレーするためのスペースを作ることなどが結果を大きく左右します。そのイメージ通りの動きをしているのが、J1通算ゴール歴代2位タイ・161点の記録を持つ、元浦和、現J1札幌のFW興梠慎三選手です。長倉選手は、「点を取る前の動き出しが素晴らしい。自分に取り入れようと勉強している」と興梠選手をお手本にし、レベルアップを目指しています。
ザスパのホームゲームでは、声を出しての応援が制限付きではありますが解禁になりました。「サポーターに名前を呼ばれて応援されるのは初めての体験」と長倉選手も楽しみにしています。初ゴールで飛躍のチャンスを掴んだ長倉選手が、ここからどんな成長を遂げてくれるのか。皆さんも応援や声援で確かめてみませんか?