笹川裕昭のスポーツコラム(月1回掲載予定)
ビッグセーブ連発で、ザスパ支える新守護神! GK櫛引政敏選手
今月4日、J2第14節、のJITリサイクルインクスタジアム(山梨県甲府市)の甲府戦では0―1で負けたもののリーグ3分の1を終え、22チーム中、14位につけるザスパ。J2が現行制度になった2012年以降では、最も良い順位。健闘を続ける要因のひとつが、守備面の安定です。14節を終えて、総失点16はリーグ8位タイ。毎年、大量失点に苦しんできたザスパにとっては、大きな改善です。チーム全体で良い守備ができていることもありますが、最後の砦としてゴールを守る、今季新加入の櫛引政敏選手(29)が、大きな役割を果たしています。
特に輝きを放つのが、このままだとゴールに入ってしまう絶体絶命のピンチで見せるビッグセーブです。そのことについて聞くと、「1対1の局面は得意な方」とサラリと答えます。どんなことを意識しているのかさらに聞くと、「シュートを打つ選手のほうが有利な状況では、自分の届く範囲だけをしっかり対応することに割り切っている」と教えてくれました。特に「短い時間の中で自分の頭の中ではいろんな選択肢があるが、どれを出すのが最も良いか普段から考えている」と一瞬の判断の大切さを意識をしているのでした。
櫛引選手は、中学、高校と、強豪の青森山田で過ごし、2011年にJ1清水でプロ選手としてのキャリアをスタート。その後、鹿島、岡山、山形でプレーし、16年のリオ五輪では日本代表にも選ばれるなど、様々な経験を積んできました。「若い時からいろいろな経験をさせてもらった。試合に出ないと経験できないミスもある。その時の経験が自分の力になっている」と話すように、これまでのたくさんの経験の積み重ねが、今季の好セーブにもつながっているのです。
キャリアを振り返れば常にレギュラーだったばかりでなく、控えに回ることもあった櫛引選手。去年の山形では、リーグ戦に1試合も出場できない悔しさも味わいました。その中で、新天地として選んだザスパでは、「去年、残留を争ったギリギリのチーム、ザスパが上に行くために力になりたい。チームが結果を出すことで、応援してくれる人が喜んでくれると思うし、自分のプレーを見せることで自分の価値も高められる」とチームのため、自分のため、そして応援してくれるみんなのために戦っている思いを語ってくれました。
シーズンはここから中盤戦がスタートします。頼もしい守護神とともに、さらなる高みを目指しましょう!