笹川裕昭のスポーツコラム(月1回掲載予定)
金メダルを経て、思い新たに役割もってリスタート 我妻悠香選手
1年前の夏、東京五輪で金メダルに輝いたソフトボール日本代表。大黒柱・上野由岐子選手をはじめとする強力投手陣をリードし、金メダルに大きく貢献したのがキャッチャーの我妻悠香選手(あがつま はるか 27=埼玉県)だ。五輪直前には、「どうしたら良い結果を出せるかを毎日追求していた」と初出場、未体験の中で無我夢中だったと打ち明ける。
金メダルの達成後は、喜びと今後の目標について気持ちの整理に少し時間がかかったというが「たくさんの方に育てられ、応援してもらった。今度は私が、誰かのために、何かのきっかけになる役割ができれば」と新たな気持ちでリスタートしたと話す。その頃、所属するビックカメラ高崎も日本代表においても選手が若返ったことが、気持ちの変化につながったようだ。「年長になったので、皆を支えることを意識している。若いメンバーを見ていると、かつての自分を思い出す。その時にしてもらいたかったことは何だったかと思い返してアドバイスをしたい」と教えてくれた。
しかし、我妻選手は支えることだけではなく、まだまだ中心選手としての活躍が期待されている。春に開幕した新リーグ・JDリーグ。チームだけでなく日本代表においても我妻選手は、アジア大会や日米対抗戦など、重要な試合に臨む予定だ。「自分の結果も求められるが、『日本のソフトの強さ』を見せていくことを、若い選手たちと取り組んでいきたい。五輪で経験してきたことを通じて、日本代表がどういう立場かということも、一緒に伝えたい」と話すように、これからもキーパーソンであることは変わりないだろう。
ところで、いつも忙しく過ごす我妻選手だが、束の間のオフに元気を与えてくれるのがある。それは、チームの拠点、高崎市自慢の「高崎パスタ」だ。イベント「キングオブパスタ」の人気店に仲間と出かけ、「めちゃ美味しい!」とパスタを堪能し、楽しく食事をすることで次なる戦いに向かうとか。
最近では、地元の応援やソフトボール熱の盛り上がりも感じるが、「試合を通じてもっと多くの人が、『明日から頑張ろうと思えるソフトボール』をやって見せたい」と意気込んでいる。金メダルをきっかけに、立場や役割、気持ちに変化が起こり、リスタートした我妻選手だが、応援してくれる皆を幸せにするソフトボールを届けてくれることは変わらないようだ。