笹川裕昭のスポーツコラム(月1回掲載予定)
悲願のV1昇格へ向け エースの覚悟に達成の予感
女子バレーボール・Vリーグ2部、群馬銀行グリーンウイングスの新シーズンが、今月30日に開幕します。2シーズン続けてV2リーグ優勝を果たし「V2最強」チームに成長したものの、V1昇格をかけた入れ替え戦では、悔しさを味わい続けてきました。彼女たちにとっては初の入れ替え戦勝利、そして悲願の昇格を目指す重要なシーズンとなります。
そんなグリーンウイングスのチームの得点源で、昨シーズンにリーグのMVPに輝いたのが、エース・田中瑠奈選手です。171センチと、アタッカーとしては決して大きい選手ではありませんが、力強いスパイクで得点を重ねる頼れる存在です。「V2で良くても、V1では通用しない。常にV1をイメージしている」と、現状に満足することなく取り組みを続けています。
V1昇格を目指すチームの変化として注目したいのが「パワフルさ」です。トレーナーが変わり、筋力アップのトレーニングが例年より多くなりました。これまでは、テクニックや粘り強さを持っていながら、「プレーの強さ」という部分では特に際立っていなかったグリーンウイングスにとって、大きなポイントになりそうです。田中選手も、「めっちゃパワーが付きました!『筋肉が付いたね』と言われると選手としては嬉しい(笑)」と自慢の力こぶを披露してくれます。
新シーズンも、サーブで攻め、高さのあるミドルブロッカーを中心に攻撃を組み立てるチームのスタイルは継続。その中で、ラリーや、苦しい展開になった時には、必ずエースである田中選手にボールが回ってきます。田中選手は、「マークは厳しくなるだろうが、ムキにならずコートを見る余裕をもってプレーしたい。自分次第で結果が変わるので、エースとしても頼ってもらえるようになりたい」と、責任と覚悟を語ってくれました。
新チームには高卒、大卒のフレッシュな選手が加わる中、田中選手は5シーズン目に突入。プレー以外でもチームを引っ張る立場になりました。「チームや仲間が苦しい時にフォローや声掛けができれば、チームで乗り越えられる。自分からも積極的に発信して、コミュニケーションを大事にやっていきたい」とチーム全体への影響力も自覚しています。
選手として、人として、たくましさを増した田中選手率いる、群馬銀行グリーンウイングスのV1昇格。今シーズンこそ達成できる予感がします。