笹川裕昭のスポーツコラム(月1回掲載予定)
自分のピッチング・チームの野球 甲子園で貫いて!
2年ぶりに甲子園へつながる大会となった夏の高校野球・群馬大会。延長十二回の末、前橋育英が6対1で健大高崎を破り、5大会連続6回目の優勝を果たしました。最後は点差がついたものの、両チーム、各選手、そして両応援団含め見ごたえのある素晴らしい決勝戦だったのではないでしょうか。
そんな決勝戦を引き締まったものにしてくれたのが、育英の外丸東眞、健大の今仲泰一、両先発投手でした。特に、育英の外丸投手は、延長十二回をひとりで投げ抜き、166球、被安打4、失点1の力投でチームの勝利に大きく貢献しました。「秋、春はふがいないピッチングをした。夏は″守り勝つ〟意識だった」と試合を振り返った外丸投手。先頭に立ってチームを引っ張り、育英伝統の″守り勝つ〟野球を見事に体現しました。
今季の育英は、昨秋、健大に敗れ、今春は太田にコールド負けするなど悔しさを味わってきました。エースとしての役割を果たせなかった時期を振り返り、「春まではかわすピッチング。打たれることが怖がったから」と話す外丸投手でしたが、「夏は怖がらずに攻めていけた」と、決勝戦の大事なマウンドで立派なエースに成長した姿を見せてくれました。
外丸投手の力強い投球を見て、以前、高校野球中継でご一緒したある解説者の方が話した言葉を思い出しました。「打線は水もの。やはり、しっかり投げ切れるエースがいないと夏は勝てない」―強打を誇る相手に対しもの怖じせず、守りからリズムを作るこの日の外丸投手と育英は、まさにその言葉通りだと感じました。
群馬代表として夏の甲子園に挑む前橋育英。相手は、京都代表の京都国際です。初出場ですが、春のセンバツにも出場するなど、力のあるチームです。外丸投手は「甲子園でも守りからリズムを作り、ピッチャー中心に頑張りたい」と意気込みを語りました。甲子園という檜舞台で、自分のピッチング、そして、チームの野球を貫き、まずは初戦突破、そして、深紅の大優勝旗を群馬に持ち帰ってもらいましょう!