年が明け令和4年になった。年末年始、オミクロン株による感染者がジワジワ増えてきていたので、ほぼ家で大人しくしていた。こたつに寝転がってテレビ三昧。チャンネルを回すと、どの局もお笑い特番のオンパレードだ。バナナマンやぺこぱなど出ずっぱりの芸人は、他人の容姿を貶めたり差別的なワードで笑いを取るようなことをしないので安心して観ていられる。
なるほど、最近のトレンド「人を傷つけない笑い」がお茶の間に支持されているのだなと実感した年の瀬、東京漫才界の大御所、昭和こいる師匠の訃報が飛び込んできた。「しょうがねぇ、しょうがねぇ」「はいはいはいはい」など、とぼけた相づちで人気を博した漫才コンビ「昭和のいる・こいる」のボケ担当で、相方のいるさんが療養中はピンとしても活躍していた。
4年前、伊勢崎出身のこいる師匠を取材させて頂いたが、大切にしているのは「子どもから高齢者まで楽しめる笑い。悪口や下ネタ、政治ネタはしない」と話していたことを思い出す。
人生におけるモットーも良かった。「『笑いの和』。漫才に限らず普段から笑いで人を和ませたい。あとね、相手に対しての気配り、心配り、目配りも忘れちゃいけないね」と。芸歴55年。第一線で走り続けてこられた理由が分かった。まさに、時代がこいる師匠に追いついたのだ。
コロナ感染の急拡大でピリピリムード漂う2022年幕開け。こいる師匠の言う、「笑いの和」が広がる世の中になれば良いなと願う。本年もよろしくお願いします。
(中島美江子)