8月5日  [連日、うだるような暑さが続く…]

先日、取材でお世話になっている方から連絡をもらった。「読みたい資料があるので購入したいが見つからない。探してもらえないか」という依頼だ。空襲体験者の声をまとめた「街角の証言 市民が語る前橋空襲」で早速、県内の古本屋にないか検索したがヒットしない。
 
そこで毎夏、証言集の朗読を行っている中村ひろみさんに相談したところ、購入は難しいのではないかとのこと。なので、彼女の手元にある証言集2冊のコピーを貸してもらうことになった。
 
そこには、80人以上の体験談が掲載されていた。前橋空襲のことも、535人が犠牲になったことも知識としては知っていたが、市民の記憶に触れ、その悲惨さ、残酷さ、不条理さがズシリと迫ってきた。入手の相談をされなければ、恐らく読むことはなかっただろう。
 
その依頼者も前橋空襲を体験した一人。彼らの言葉からは、当時の生々しい状況がリアルに伝わってくる。「この悲しみも怒りも、忘れてはいけないよ」 そう言われているような気がした。
 
連日、うだるような暑さが続く。76年前、1945年8月5日の前橋も暑かったらしい。中村さんは、今年の8月5日も、前橋の街なかで証言集を朗読する。その声に、一人でも多くの人が耳を傾けて欲しいと願う。

(中島美江子)

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