中高生時代、洋菓子作りが趣味だった。料理番組を見ながら手順を必死で書き取ったメモや、関連記事を貼り付けたノートをもとに、実際に調理。完成した時はいつも心躍っていた。
菓子作りで難度が高いのはアップルパイ。生地は意外に力と手間が必要だ。また、主役の煮リンゴが味を左右するのだが、パイに適した、酸味のある紅玉は当時、田舎では手に入らなかった。品種にこだわらず、技術も未熟だったせいか、納得のいく味が出せなかった。
先日、リンゴ園のこだわりスイーツを特集した。各作り手は栽培同様、研究を重ねた加工品を心を込めて作っているが、使うリンゴは紅玉に限らず、様々な品種だったのには驚いた。
夜中、紙面を見ながら久々に作りたい衝動にかられる。紅玉は今が旬。閉店直前のスーパーで材料をゲット。砂糖とレモン汁でじっくりと煮てシナモンをたっぷり投入。冷凍パイシートで包みグリルで焼くこと15分。端が少し焦げたけど、見た目はバッチリ。
時計は午前2時。でも気にしない。アツアツを食せるのがホームメイドの醍醐味。紅玉マジックのおかげか自分史上最高の出来だ。深夜のパイ作り、病みつきになったかも。次は11月が旬のふじでチャレンジしたい。
(上原道子)