毎年春になると、通勤に使う川沿いの道が長い桜並木になる。今年も木がうっすらとピンク色をまとう咲き始めから、満開の桜トンネル、桜吹雪までの2週間あまり、お花見ドライブを楽しませてもらった。新学期を待たずに花びらが散り終えた桜の木々は、今はもう青々とした若葉を伸ばしている。
わが家の子どもたちも高校と中学でそれぞれ進級し、新しい仲間と新しい先生との、少し緊張するわくわくとした日々を過ごしているようだ。学校から渡された年間行事表には予定がずらり。今年こそは、仲間たちと過ごす貴重な時間を、彩り濃く充実させていって欲しいと思う。
私はといえば、数年ぶりに子ども会の役員を引き受けることになった。前年度からの引継ぎの会議に参加すると、コロナ禍で中止していた行事を、今年はすべて再開する予定とのことだった。しかし間もなく、今年も夏祭りは中止の方向に動いた。3年も空けてしまうと再始動も難しいのだろうか。
様々な場で行事の「簡素化」が進んでいると聞く。それも仕方のないことと思うが、提灯が照らす夕暮れの田舎道を、子供たちが賑やかな祭り会場に向かって歩く、あの風景が消えてしまうのは少し惜しい気がした。
(塩原亜希子)