一年前、東毛で一人暮らしをしていた義父が亡くなった。喉にがんが見つかり2カ月足らず。あまりにも急で、きちんと最期の挨拶を交わせなかったことは、親族一同、心残りだった。
驚きと悲しみの中で葬儀催行から遺品整理まで、長男である夫を中心に東奔西走する中、墓の移転問題が浮上。
代々の墓は、一族の居住地から遠く離れた山のふもとにある。墓地にたどり着くまでに草刈りが必須。猿や猪の「楽園」で、時には熊の足跡を発見することも。おまけに吸血生物ヤマビルやスズメバチも出没するため、墓参りのたびに駆除剤の散布や長袖長ズボン、長靴姿の重装備などあらゆる対策を打たねばならず、一苦労だった。
義父自身が転墓を希望していたこともあり、思い切って前橋市の分譲する公営墓地に申し込んだ。さらに、「生前、親父が頑張って建てた墓石を受け継ぎたい」という親思いの夫の意向で石塔ごと移設することに。先日、先立った義祖母と義母の遺骨を取り出し、引っ越し準備も完了した。あとは新しい墓での開眼供養と納骨式を待つだけだ。
ようやく落ち着ける、新しい場所ができましたよ、お義父さん。どうぞまた皆で、にぎやかに楽しくお過ごしください。
(上原道子)