今年の夏は暑かった。過去最高気温を観測した地点は全国128カ所にも及んだそうで、気象庁は今月1日、6~8月の全国の平均気温が、観測史上最も暑かったと発表した。
来週は秋の彼岸。暑さは彼岸までと言うけれど、予報気温は今日も真夏日だ。今年は秋なんて来ないのではと疑いたくなるが、やはり季節は少しづつ進んでいるのか、ほんのちょっと朝晩に初秋の気配が感じられる、気がする。
「暑さ寒さも彼岸まで」は、夏の暑さも冬の寒さも春秋の彼岸を境に和らぐ、という季節の慣習的な言い習わしだが、「困難な事態もいつか終わりが来る」という教訓的な意味にも使われる。以前、従兄が仕事の都合で東南アジアに住み始めた頃「暑さには慣れたけれど一年中ずっと暑いことに慣れない」と話していたことがあった。終わりが見えない困難はたしかに苦しい。日本の猛暑も酷暑も、季節が移るまでという希望があればこそ、今日も暑いと文句を言いながらも耐えられるのだろう。
すぐそこまで来ている秋の涼しさが待ち遠しい。しかしまた数カ月後には、からっ風に吹かれながら、寒い寒い早く暖かくならないかなと、その後に来る夏の暑さのことを忘れ、暖かい春を待ちわびるのだろう。
(塩原亜希子)