「わたくし生まれも育ちも群馬です」フーテンの寅さんよろしく自己紹介する人に、「じゃあ、『り』の読み札を言ってみてよ」と、すかさずツッコミを入れるのは上州人あるあるかもしれない。
老いも若きも全ての札をほぼ暗唱できる「本県の誇るべき文化」、それが上毛かるただ。子どもの頃、地域予選で勝つべく必死に札を覚えるなど、夢中になって取り組んでいたことを思い出す。
我々県民のDNAに深く刻み込まれた上毛かるたの変遷にスポットを当てた展覧会が、前橋の群馬大学中央図書館で今月29日まで開かれていると知り、早速、行ってみることにした。
会場には1947年の初版、55年の改訂版、68年の再改訂版の絵札が初版の読み札と共に展示されている。現在、使われている再改訂版との違いが見比べられるのが面白い。例えば、初版の「ち」の読み札は「力あわせる百六十萬」だが今は「二百万」に、絵札は「文化日本」だが今は「群馬」に変わっている。
上毛かるたに加え、県内8市町村が制作したかるたも並んでいるので郷土愛をくすぐられること間違いなし。さらに、クイズに答えると、もれなく景品が貰えるのも嬉しい。生粋の群馬県民にも、そうでない人にも今秋、オススメしたい展覧会の一つだ。
(中島美江子)