明日10日、夏の高校野球群馬大会が2年ぶりに開幕する。スタンドに大歓声が戻る日はまだ先だろうが、高校野球ファンとしては開催に心が躍る。
剣道部の息子も中学最後の夏。しかし入部から3年間、今日まで野球でいう「ベンチ外」の日々だった。強豪チームに覚悟しての入部だったが、成果の出ない毎日、続ける意味に迷うこともあっただろう。心配もしたが、本人はあっさりと「楽しかったし、続けてよかったと思ってる」と笑う。小学生の頃から通う道場で「勝つことがすべてではない」と教えられたからか、部活で「努力が報われないこともある」と諭されたからか。親に本音など言うはずもないが、頑張り続けた意味は、きっといつか、何かの形で彼に答えをくれるだろう。
どの競技も、まばゆい表舞台の影にはたくさんの涙がある。世の中の最終学年を迎えた子供たちが皆、それぞれ「最後の夏」に思う存分挑めますようにと願わずにいられない。去年、先輩の引退を茫然と見送り、検温と消毒の日々を乗り越え、練習に励み辿り着いたこの夏は、きっと濃い思い出になる。
息子にとって今週末の試合が中学最後になるだろう。観覧も可能になった。声を上げての応援はできないが、雄姿を静かに見守りたい。
(塩原亜希子)