災害の歴史の積み重なり感じて
1989年、考古学研究者間に衝撃が走りました。玉村町の芝根小学校建設にあたって発掘調査を進めたところ、約1500年前の前方後円墳がほぼ当時の姿で見つかったのです。なぜかというと1783(天明3)年の浅間山噴火による降灰と、その直後に発生した吾妻川・利根川流域に押し寄せた天明泥流によって古墳が埋められてしまったからです。
古墳の周囲には江戸時代当時の畑がきれいに残されていました。古墳をこわさないで畑を耕作していたことがわかります。この調査のとき作成されたのが、当館に入ってすぐのところに展示されている「小泉大塚越遺跡土層」(剥ぎ取り)です。
これを見ると、どのように古墳がつくられたか、そして1108(天仁元)年の浅間山噴火による降灰や、天明の噴火時の降灰と泥流によって古墳が埋まっていく様子などがわかります。アスファルトで舗装された足元の下には災害の歴史の積み重なりがあることを感じることができる展示です。県内のほかの地域を探せば、過去の災害の痕跡を見つけることはできますが、この土層は身近に見ることのできる資料として、ぜひ見学してほしいと思います。
この他、天明泥流中から見つかった中町遺跡(玉村町上福島)出土の江戸時代の銅製やかん、陶磁器、砥石や天明泥流により埋没した五料関所と利根川の変流を描いた絵図も展示しています。
最後になりますが、過去の災害を追体験できる資料は他の博物館・資料館でも見学することができるはずです。その資料は、もともと各家庭から提供された資料も多く、安易に捨てないことが求められます。
■きてみて■
玉村町歴史資料館
玉村町大字福島325文化センター2階/0270-30-6180/午前10時~午後4時/無料/休館日は月~水・祝日・年末年始(企画展・特別展開催期間臨時開館あり)常設展では日光例幣使道の宿場として栄えた玉村宿をはじめとする町の歴史と、郷土芸能を紹介。県重文の小泉大塚越3号古墳・小泉長塚1号古墳石室出土品、幕末の一級史料である県重文の「三右衛門日記」も見どころ。企画展、特別展、ミニ企画展、歴史講座や体験学習会も開催/12月20日まで特別展「佐渡奉行街道と玉村町」開催中