中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」[忍器(手裏剣・マキビシ・鎖鎌)](Vol.11)

日本最大級 真田忍者の道具ずらり

手裏剣、マキビシ、鎖鎌などさまざまな忍器

忍者が使った武器といえば手裏剣、鎖鎌、マキビシなどが有名ですが、忍者は一子相伝(いっしそうでん)、活動内容を他家に漏らすことはなかったので、史料が少なくて分からないことが多いのです。中之条町「ミュゼ」には500点以上に及ぶ、日本最大級の忍器(忍者の道具)が所蔵されていて、そのうちの60点余りが館内ロビーに常設展示されています。

吾妻郡は戦国時代には真田氏が越後の上杉氏や相模の北条氏と戦った場所にあたります。当時「真田忍者は日本一」と言われ、相手を攪乱したり寝返りさせたり、高度な情報戦を展開して、少人数で大勢の敵に立ち向かいました。

真田忍者といえば、甲賀忍者の猿飛佐助や伊賀忍者の霧隠才蔵に代表される真田十勇士が有名です。真田幸村が率いる10人の忍者たちは、大坂の陣で縦横無尽に大活躍したとされますが、実は映画や小説にでてくる架空の英雄です。そのため、忍者は後世の人による作り話だと思われてきました。

中之条町の博物館「ミュゼ」には忍者の道具に加えて、古記録に「忍びの上手は古今無双」と書き記されている割田下総や、中山城(吾妻郡高山村)から金の馬鎧を奪ったエピソードで知られる唐沢玄蕃らの忍者が活動した場所の地図や年表などがわかりやすく解説されています。近くには全国的にめずらしい忍者の墓もあります。

まず「ミュゼ」を見学してから、真田忍者ゆかりの地を実際に訪ねるなどして、戦国の世にタイムスリップしてみてはいかがでしょうか?

中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」
館長    山口 通喜 さん

やまぐち みちよし/1956年生まれ。吾妻郡中之条町出身。東京外国語大学中国語学科卒。2012年パナソニックを早期退職した後、横浜開港資料館などに勤務し、16年4月より現職

きてみて
中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」吾妻郡中之条町大字中之条町947-1/0279-75-1922/午前9時~午後5時/木曜休館(年末年始12月27日~1月5日は休館)/一般200円、小中学生100円/20日まで企画展「吾妻衆地侍 折田軍兵衛の肖像~戦国から太平の世へ~」開催中

掲載内容のコピーはできません。