「雲」を「越」えて来た人々の 豪雪に耐える生活伝える
みなかみ町藤原は、全国有数の豪雪地帯です。数十年前に比べれば温暖化のためか降雪量が減少傾向にありますが、それでも真冬になれば積雪量は2㍍を超えます。一階は埋まり、昔は2階から出入りしていたそうです。雲越家(くもこしけ)住宅のすぐ近くには、ほうだいぎスキー場があり、毎年5月まで残雪があります。
この家は、豪雪地帯に適した重厚な造りで、1887(明治20)年に建てられました。住民の雲越家は、農家として稲作、畑作のほか養蚕も行い、養蚕用具は739点も残されています。雲越という名字は、このあたりに今でも数軒ありますが、ほとんどが親戚ではないそうです。一説によると、その昔、東北地方から高い山々の雲を越えてやってきた一団が、雲越と名乗ったといわれます。
現在は、雲越家住宅資料館として公開されており、明治から昭和にかけての山村生活の実態がうかがえます。豪雪に耐える厳しい生活の歴史を如実に伝える雲越家住宅は、古さだけでなくこの家で実際に使われた生活道具のほとんどが残されているという点で、全国的にも貴重な文化遺産と考えられています。
明治、大正を経て昭和に絶えたこの家は、めまぐるしく変化したこの国の歴史を傍観するかのように、ひっそりと山里にたたずんでいました。今も、囲炉裏、茅葺き屋根といった懐かしい日本の風景が、手つかずのまま保存されています。
きてみて
雲越家住宅資料館(みなかみ町藤原字山口3688)/開館日 5~11月の土・日・祝日/開館時間 午前10時~午後3時/一般250円・小中学生150円。町民は無料 ※見学希望者は一週間以上前に要予約。みなかみ町教育委員会生涯学習課 0278-25-5025