1m超える、巨大な石の棒
資料館に入ると、最初にホールのような広い考古展示室があり、様々な土器や石器が並ぶ中、まんなかに大きな石棒が横たえられています。長さ1㍍を超えるこの石棒は、1926(大正15)年4月28日に勢多郡横野村(現在の渋川市赤城町)滝沢の桑畑で発見されました。石棒とは何か、その用途は実はよくわかっていませんが、実用品ではなく祭祀や信仰に関わるものと考えられています。
この遺跡ではほかにも石囲いの炉、土器や石器等が4か所にわたって見つかり、国から派遣された職員や県内の研究者らによる発掘調査の結果、住居跡や石組等、縄文時代の遺跡が姿を現しました。村はただちに史跡指定の手続きを行い、1927(昭和2)年4月8日に国の史跡に指定されています。縄文時代の遺跡でありながら「石器時代」の名がつけられたのは,当時の学問の水準によるのですが、戦前の史跡指定という日本の考古学や文化財保護の歴史の証明でもあるのです。
赤城町は上三原田の歌舞伎舞台や石造不動明王立像(宮田のお不動様)など、国指定の文化財に恵まれた土地柄で、赤城歴史資料館はこれらの文化財のガイダンス機能の役割を持つ施設です。館の成り立ちのきっかけは、村の老人クラブの記念事業で民具の収集を開始したこと。数年にわたり収集が続けられ、約1200点が集まりました。最初に展示場所とした津久田小学校では手ぜまになった上、地域で文化遺産の保管・展示施設建設の要望が大きくなったことから1983(昭和58)年4月に開館しました。屋根は上三原田の歌舞伎舞台に似せて寄棟とし、玄関ロビーには縄文模様を施しています。館のすぐそばには勝保沢城跡の土塁や堀が残っています。
はじめに紹介した考古展示室には、縄文時代の各時期の土器が並び、時代の変遷をたどれます。楽しみ方はいろいろあります。皆さんのお越しをお待ちしています。