史跡に指定された県内の貴重な遺跡や古墳などを担当者が紹介
1926(大正15)年10月20日指定
「国の華」と讃えられた古代寺院
天平13(741)年、国家安寧を願った聖武天皇によって「国分寺建立の詔(みことのり)」が発せられ、全国60余りの国ごとに「国の華」として国分寺が建立されました。現在の群馬県域に相当する「上野国」では、国府(役所)北西の景観の優れた場所に「上野国分寺」が造られました。
寺の範囲は東西200㍍、南北235㍍ほどで、外周には「築垣(ついがき)」と呼ばれる高い土塀が巡らされていました。発掘調査によって、本尊を安置した金堂、僧侶が経典の講義を行った講堂、七重塔、中門、南大門などの建物配置が明らかとなり、現地には七重塔・講堂の基壇、南辺側の築垣が復元整備されています。
近接するガイダンス施設「上野国分寺館」では、20分の1の縮尺で復元された七重塔の模型のほか、調査で出土した瓦などの遺物が展示されています。瓦は現在の笠懸・藤岡・吉井などの地域で生産され、はるばる国分寺へと運ばれました。地名・人名が刻まれた瓦も多く、造営に上野国内各地の豪族が関与したことを示します。多くの人々の協力により、上野国では他国に先駆けて国分寺の主要建物を完成させることができました。また、修繕もたびたび行われ、金堂や七重塔は約300年にわたって維持されたようです。
現在でも、上野国分寺跡は地元の人々に大切にされており、毎年10月(今年は10月22日)に開催される上野国分寺まつりでは、往時をしのんで華やかな天平衣装行列や雅楽演奏が行われます。
■きてみて■
ガイダンス施設「上野国分寺館」
高崎市引間町250-1/027-372-6767 /閉館日:年末年始(12月29日~1月3日)/開館時間:午前9時半~午後4時半/見学無料