旧碓氷峠鉄道施設 丸山変電所(vol.43)

史跡に指定された県内の貴重な遺跡や古墳などを担当者が紹介

 

国指定重要文化財(1994年12月27日指定)

鉄道の歴史物語る 最盛期の煉瓦造り建築 4年ぶりに内部公開

丸山変電所。手前から「蓄電池室」 と「機械室」

丸山変電所は、JR信越本線の横川駅から遊歩道・アプトの道に入って30分ほど歩いたところにあります。碓氷線(横川―軽井沢間)の電化に伴い、1911(明治44)年に建設されました。峠越えを支えるアプト式機関車に、発電所からの電気を供給するためです。煉瓦(れんが)造り建築の最盛期のもので、その堂々とした姿が、鉄道の歴史を物語っています。

建物が2棟あります。東側が蓄電池室、西側が機械室です。

蓄電池室内部。当時は鉛蓄電池が並べられていた

蓄電池室には計312個の鉛蓄電池が並べられ、発電所から供給された電気を蓄えて、電気機関車に供給していました。充電中は硫酸雲霧が発生するため、窓、引き戸などに通風に適する特殊設計が施されています。その後、新型電気機関車の導入により大量の鉛蓄電池は不要になりました。

一方、機械室には、変圧器と回転変流機、昇圧機が設置されていました。発電所から送られてきた電気の電圧を変え、交流から直流へ変換し、蓄電池室内の蓄電池と電気機関車へ送電していました。新しい機械を導入し外部から電気を購入することになってからは、倉庫として使用されました。

その後、63(昭和38)年のアプト式の廃止に伴い変電所はその役割を終えましたが、建物は残され、94(平成6)年には国指定重要文化財に。97年の碓氷線廃線後、保存修復工事が行われ、2002年には外観・屋根が建設当初の姿に復元されました。

普段は外観のみ見学ができますが、今秋、実に4年ぶりに内部公開を行います。旧碓氷線の写真や資料展示、ガイドによる解説もありますので、ぜひお越しください。

安中市みりょく創出部文化財課文化財活用係 主事
宮原 康祐 さん

みやはら・こうすけ/1977(昭和52)年、前橋市生まれ。東京工業大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻修士課程修了。2021年4月、安中市入庁。23年4月より現職

きてみて
旧碓氷峠鉄道施設 丸山変電所/安中市松井田町横川字丸山1256-5(「遊歩道アプトの道」横川駅~峠の湯間)/問い合わせ:同市学習の森(ふるさと学習館) ℡: 027-382-7622
※内部公開/10月28~30日、11月3~5日、11日の各日午前10~午後3時/入館無料

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