国登録有形文化財 2001(平成13)年11月20日登録
俊才・和三郎と嘉一郎の母校 記念館としてリニューアル
みどり市東町(旧勢多郡東村)の花輪小学校は1873(明治6)年に開校し、2001年に128年の歴史を閉じた学校です。開校と同時に入学した2人の俊才 ― 童謡「うさぎとかめ」の作詞で知られる石原和三郎と、日本鋼管(現JFEスチール)の設立者の一人である今泉嘉一郎 ― は現在でも東町の人たちの尊敬を集めています。
現在残る木造校舎は、嘉一郎が寄付した改築基金をもとに1931年に設計・竣工しました。木造2階建、南向き窓の教室で北側廊下という学校設計の基準として作られた『学校建築図説明及び設計大要』(1895年)に基づいています。黒板や教壇を西に置いた南向き窓なら、光が左側から入り、書き取りのときに手の影で字が読みづらくならなくなるもので、現代の学校でもその決まりはほぼ守られています。
このような典型的な学校建築でありながら洋風瓦を葺き、腰折れ屋根の換気口6カ所を持つ建築意匠は、戦前に建てられた木造校舎の中でも特に異彩を放つといわれ、2階と1階の廊下にはダストシュートが設けられるなど先進的な設計が施されています。校舎は嘉一郎の帝国大学以来の友人伊藤忠太の弟子・大川勇が設計しました。学校建築を得意とした棟梁の小林子之吉は「これだけよい材料を使って建てた学校はなかった」と語るなど、建造から92年経っても当初の姿をほぼとどめているのもそのおかげかもしれません。
現在校舎は、和三郎と嘉一郎の業績や教育資料等を展示する記念館に生まれ変わりました。みなさんもこの機会に、古き良き学校建築の雰囲気に触れてみてはいかがでしょうか。
きてみて
旧花輪小学校記念館
みどり市東町花輪191-1
休館日:月曜(外観はいつでも見学可)
入館料:一般200円・小中学生50円(団体料金あり)
駐車場:校舎裏側にあり
問い合わせ:0277-76-1933(みどり市教育委員会文化財課)