ダイナミックな縄文アートにふれてみよう
写真の縄文土器は、富岡市北西部丹生地区の上丹生屋敷山(かみにゅうやしきやま)遺跡から出土しました。ほぼ完全な形で復元することができ、高さは70センチにおよびます。同種の土器の中でも大型で、ダイナミックな姿をしているのがとても印象的です。
「焼町(やけまち)土器」と呼ばれ、縄文時代中期(約5500年前~約4000年前)に、おもに長野県から群馬県にかけて盛んに作られたと考えられています。特徴は、何と言っても派手な見た目です。装飾の線が際立つように深く刻まれた文様が目をひきます。
さらに、口径約50㌢の縁のまわりには、ドーナッツ形や穴を開けたツマミ形の突起がいくつも付けられていて、その形から「眼鏡状突起」と呼ばれています。また、胴の部分には粘土ひもを曲線状に貼り付けた「曲隆線文」があり、これを強調するように線が深く彫られていることがわかります。棒の先で突いた文様の「刺突文」も見られ、まるでアート作品を見ているようです。
焼町土器は、名前の発祥となった「焼町遺跡」のある長野県東部から、本市を含めた群馬県西部の遺跡で多く出土しています。この地域は交流が盛んな「文化圏」だったのかもしれません。
富岡市郷土館ではご紹介した焼町土器のほか縄文時代から近代まで市内の遺跡で出土した各時代の遺物や解説パネルを展示しています。郷土館をご見学いただいた後に興味を持たれた遺跡を訪れ、富岡の歴史やはるか遠い時代に思いをはせてみてはいかがでしょうか。