笹川裕昭のスポーツコラム(月1回掲載予定)
クラブの成長無くして、飛躍なし。
皆さんもザスパを楽しみながら強くしよう!
「J2に残ることができて、素直にホッとしています」 今月5日、大宮との最終節までもつれ込んだJ2残留争いで、ギリギリの18位で残留を決めたザスパクサツ群馬の久藤清一監督は語った。監督だけでなく、選手やスタッフもザスパに関わる多くの人が思った率直な思いだと思う。
サスパは2017年に、初めてJ3降格を経験。翌シーズンJ2復帰を目指したが叶わず、2年目にどうにかJ2復帰を果たした。過去J3に降格し、1年で復帰したチームは1チーム。昇格はそれだけ難しく、世間は厳しい。カテゴリーが下がることで、在籍する選手やメディアへの露出など、全ての力が格段に変わってしまう。残留は最重要ミッションなのだ。
他方、ザスパのクラブ力は一向に上がる気配がない。それは、成績だけでなく、経営面からみても明らかだ。Jリーグが公開している20年度のクラブ決算書によれば、J2クラブの平均営業収益が15億円なのに対し、ザスパは、2番目に少ない6・2億円。また、選手、監督などの人件費は、同平均が7・3億円なのに対し、ザスパはリーグワーストの2・4億円。昨年はコロナで減少したが、リーグ全体の経営規模は、年々、拡大傾向にあるにもかかわらず、ザスパは、参入初年度から大きく変わらず。お金がすべてではないが、経営状態が大きなアドバンテージを生むのも事実だ。
02年にザスパが誕生し、20年目のシーズンが終わった。最前線で戦う選手、監督、スタッフらチームは、毎シーズン、力の限りを尽くして戦ってくれている。さらに上を望むためには、クラブの成長無くして考えられない。経営陣やスポンサー、サポーターや地域が一丸となった皆の協力が必要だ。
週末の試合には、数千人規模が集まり、時間、空間を共有する。試合だけではなく、スタジアムはイベントやグルメが楽しめる場所でもある。家族やカップル、仲間と、世代を超えて、ワクワク一日を過ごせる特別なものが私たちの住む群馬にはある。朝日ぐんま「子育て応援号」をお読みの皆さん、来シーズン、まずは1度、スタジアムに足を運んで、楽しさを実感してはどうですか。それが、ザスパというクラブを大きくする力にもなるのだから。