笹川裕昭のスポーツコラム
手ごたえと悔しさを糧に新たなシーズンへ
バレーボール・V2女子の群馬銀行グリーンウイングスが、4月7、8日のV1(1部)昇格を懸けた入れ替え戦をもって今季の戦いを終了しました。「V2優勝、V1昇格」を目標に掲げましたが、リーグ戦は2位、そして、入替戦ではV1チームの厚い壁に跳ね返され、目標を達成できませんでした。しかし、今季のグリーンウイングスは、「全員バレー」を体現した、とても魅力的なチームでした。
振り返れば1年前、新監督が決まらず、選手たちは不安の中スタート。それでも、キャプテンの松尾奈津子選手を中心に、選手間でのコミュニケーションを密にし、目標を決め、必要な練習など、自主性を深める機会へと変えていきました。
その後、斎藤真由美監督が就任しました。斎藤監督は、そうした選手たちのまとまりを活かしながら、レギュラーを固定せず、対戦相手や選手の状態に合わせ、柔軟に全選手を起用するスタイルを作り上げたのです。
バレーボールはチームプレーが大切な競技なので、ある程度、メンバーを固定し、連携面を高めることを重視するのが一般的ですが、全選手が、コートの中だけでなく、日常から関係性を深めることで、「チームや仲間のために自分ができることは何か?」という思いで、それぞれの役割を果たし、一体感が増すチームへと成長。今季のグリーンウイングスは、一定の結果を出すことができました。しかし一方で、V2優勝、V1昇格という目標を果たせなかった悔しさも残りました。
今シーズン、V2優勝を果たしたのは、山形を本拠地にするプレステージ・インターナショナルアランマーレでした。アランマーレは、入れ替え戦でV1チームを破り、見事、V1昇格を果たしました。同じリーグで戦っていたグリーンウイングスは、4度目の入れ替え戦でしたが、残念ながら昇格できなかったのです。「やはりV1は強かった」で終わらず、違いは何だったのか?そこを見つめて、すぐに始まる新シーズンへ向かわなければなりません。
バレーボールの国内リーグは、2024―25シーズンに向け、リーグの再編が検討されていて、その際、グリーンウイングスも、トップリーグ入りを目指していると言われています。参入には諸条件がありますが、何より強さが伴わなければいけません。今シーズンの成果と課題を糧に、秋からの新シーズンの飛躍を期待しましょう。