衆院選の公示が19日に迫りました。俗に、候補者には地盤(組織)、看板(知名度)、かばん(資金)が必要とされるようですが、コロナ禍であらゆる光景が一変しました。何より政治の助けが必要な人たちを思い、多くの人の胸に響く言葉を磨いて選挙戦に臨んでほしい。
ガチ勝負の国政選挙では、理解不能な「超常現象」に遭遇することも。2013年参院選告示日の朝、全国の与党陣営から引っ張りだこの人気若手議員が秋田市内で応援演説に立ちました。約1時間後、約90㌔先の秋田県南東部の山村で、集まった支持者らの前に彼の姿が……。えっ? 制限速度70㌔の秋田自動車道と湯沢横手道路を経て険しい山道。すべて青信号でどんなに急いでも1時間半はかかるはず。
「猛スピードで振り切られた」。彼を乗せた車を追尾した後輩記者は、念のため秋田県警に「異常な速度で秋田道を南下中の車がある」と一報。すると、問題の車は帰途、極度の安全運転に徹し、次の遊説先に数時間遅れて到着しました。よもや、ご注進でも?
07年参院選に比例区で立候補した元幹部自衛官は、全国の基地を飛び回って遊説を重ね、支持を訴えました。でも、地図や時刻表を広げて基地間の距離と遊説時間を突き合わせると、公共交通機関では絶対にたどり着けません。よもやよもやだ! 陸自ヘリで移動してないよね?
いずれも当事者や当局が取材に非協力的で裏付けを取りきれなかったのが悔やまれます。でも、群馬でも何かが起きるかも。気づいたら教えてください。
(朝日新聞社前橋総局長 本田 直人)