本年もよろしくお願いします。
春節（旧暦のお正月）を大切にする中国でも、１月１日に新年のあいさつをするのは一般的で、今年も年末年始に中国人の友人たちと電話やＳＮＳで近況を報告し合った。「群馬県に転勤になった」と伝えると、ほぼ全員、最初の一言はこの言葉だった。
「トウウェンズ！」
トウウェンズ。漢字で書くと「頭文字」。そう、車にかける若者たちの青春群像を描いた人気漫画「頭文字（イニシャル）Ｄ」のこと。中国の若者の間でも絶大な人気があり、漫画の舞台とされる渋川市を含めた群馬県は「頭文字の聖地」として有名で、京都や北海道などと並び、日本の人気旅行先の一つにもなっている。
台湾出身の人気俳優・周傑倫を主役にした実写版映画も作られており、上海っ子の小黄は「昨日、家の近くで『藤原とうふ店』（漫画の主人公の実家）のステッカーを貼った電動バイクを見た！」と、興奮気味に教えてくれた。
世界中で新型コロナウイルスの収束が見えない中、以前のように自由に外国を旅できる日常が戻るのは、いつになるのか。それでも、こうしてそれぞれが暮らす国や地域で、お互いの暮らしや町並みを思い浮かべることはできる。
２０２２年、たくさんの人たちと出会い、つながりが持てますように。
(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)