1年前まで駐在していた中国・上海では、新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受け、3月末からほぼ全域でロックダウン(都市封鎖)が続いている。人口約2500万人が暮らす国際的な大都市のロックダウンは、厳格そのものだ。住宅地やマンションが丸ごと封鎖され、家から出られるのはPCR検査の時だけ。便利な暮らしに慣れている上海の友人たちは、どんな日常を送っているのか。心配になり、SNSで封鎖の日々の様子を聞いてみた。
――部屋から一歩も出られないから、家族でヨガサイトを見て運動不足解消中
――デリバリーも感染防止で営業停止に。ミルクティーとマクドナルドのポテトが夢に出てきてつらい……
そんなメッセージのほかに、ロックダウンの切実な現状を教えてくれるのが、歩数記録アプリだ。友人同士で歩数を共有でき、その日のランキングが出るアプリを使っているのだが、4月に入ってから、私は常に上位に食い込むという「異常事態」に。ランニング熱の高い上海では、往復10㌔の通勤ルートを毎日走ったり、週末は50㌔近くを走破したり、とにかく「走り屋」が多い。平日は1万歩を目標にしている私は、良くて20~30位が定位置だった。
上位の常連だった友人たちの10日の歩数を見ると、331歩、289歩、193歩……。一歩一歩、自由に移動できる日が戻るのはいつになるのか。胸が痛んだ。
(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)