今、人生初の「鳩害」に直面している。鳩の存在に気付いたのは、ほんの1週間前だ。前橋市内の自宅リビングで朝のコーヒーを飲んでいると、ヴー、ヴーと、重低音の響きを感じた。スマートフォンかと思ったが、違う。何げなくベランダを見ると、二羽の鳩がうずくまっていた。窓を開けるとすぐ飛び立っていったが、手すりやエアコン室外機の上に羽や糞が転々と落ちていて、青ざめた。いつのまにこんなことに――。
「鳩に住み着かれて大変だった」と言っていた友人の話が脳裏に浮かぶ。調べてみると、鳩が居着くまでは初期(たまに停留)、中期(日常的に停留)、後期(営巣を開始)の3段階に分けられる。初期の段階で何らかの手を打たないと、場所への執着が強まり対策が難しくなると知った。
不動産会社の担当者に連絡すると「営巣していないか調べます」とすぐに来てくれた。幸いまだ初期のようだが「初期の対策こそ重要。今が正念場です」と一言。物を置いて生活感を出す、室外機の上に障害物を置く、などの助言に従い、その日のうちに対策をとった。「朝バケツ一杯の水をまくのも効果あり」と聞き、毎朝小さなじょうろで水まきをするのが新たな日課になった。
2日ほどして、我が家のベランダへの飛来は無くなった。ほっとして窓を開けると、聞こえてきたのはあの重低音。次の瞬間、隣の部屋のベランダから飛び立つ二羽が……!まだ正念場が続いている。
(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)