夏の楽しみは?と聞かれたら、私が真っ先に思い浮かべるのは「スイカ」。夏は毎日でも食べたいくらいスイカが好きだ。
スイカの名産地は全国各地にあるが、長野県南部の実家が営む農園でも、スイカはトウモロコシと並ぶ夏の主役。実家では7月からの収穫に向け、今年は4月に苗植えをしたそうだ。気温や天候に気をもみながら、スイカのツルが絡まないよう連日畑に出て、炎天下での作業を続けている。小さい頃からそんな農作業を手伝ってきた身からすると、収穫間近の農作物の盗難事件は、聞く度に心が痛む。群馬県のスイカの名産地・太田市藪塚で、スイカ泥棒が多発しているという記事が、6月1日付の朝日新聞群馬版に掲載された。出荷の最盛期を迎えている特産物「藪塚こだま西瓜」の盗難が相次ぎ、今年に入ってすでに100玉以上が盗まれているという。
収穫間際のものばかり盗まれ、畑も荒らされ、茎や残ったスイカも踏みつぶされていたというから、農家の方のショックと落胆を思うと言葉もない。
1人でもたくさんの人に、おいしくて元気になるものを食べてもらいたい。お米や野菜、果物の一つ一つには、農家の方たちのそんな気持ちと丹精込めた手間と時間が込められていると思う。
スイカ泥棒対策に太田署とJAなどは合同パトロールを実施したという。たくさんの思いがこもったスイカ。これまで以上に大切に味わわせてもらおうと思う。
(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)