もう一つの夏 [夏と言えば……。高校野球、そして、吹奏楽…]

夏と言えば……。高校野球、そして、吹奏楽。朝日新聞に入社して以来、高校野球の都道府県大会が終わると、「さあ、次は吹奏楽コンクールだ」、というのが夏のタイムスケジュールとなっている。

今年は7月27日に高校野球群馬大会が終了し、8月1日から群馬県吹奏楽コンクールが、高崎市の群馬音楽センターで始まった。

小、中、高、大学、一般・職場まで、出演する人たちの年齢も規模も様々だが、共通しているのは、とてもうれしそうに音を奏でる姿だ。観客席に座り、演奏だけでなく、一人ひとり楽器と向き合う姿を見ていると、あっという間に時間が過ぎる。

指揮者の先生たちも、それぞれ指揮棒の振り方や感情の高め方に個性があって、普段指導する姿や、生徒たちとのやりとりを思い浮かべてしまう。

私も、中学時代は吹奏楽部員だった。といっても、地元の中学校は女子生徒が入れる部活は、バスケットボール、卓球、吹奏楽、の3択しかなく、運動が苦手だった私は深く考えずに吹奏楽部に入部した。顧問の先生が私に与えた担当はトランペット。同じく吹奏楽部員だった三つ上の姉が上手だったから、というのが理由だった。

最初は受け身だった日々の練習。でも、1年生の時に会場で見た吹奏楽コンクールでの先輩たちの晴れ晴れとした表情と、音が重なり合う演奏に、圧倒されたのを今でも覚えている。そんな光り輝く舞台を、今年の吹奏楽コンクールでも堪能している。

今年の吹奏楽コンクールの会場「群馬音楽センター」。真夏の日差しの中、出演者たちがてきぱきと楽器搬入作業をしていた

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

 

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