猛暑の夏も終わり、秋がやって来た。朝晩の空気はひんやりとし、半袖をいつまで着ようか悩む毎日だ。
食欲の秋、読書の秋、芸術の秋、行楽の秋……。気候も落ち着き、作物も収穫期を迎えるこの季節。私にとっては「スポーツの秋」の到来だ。
総局長日記でも以前書かせてもらったが、前橋での休日の楽しみの一つは、利根川沿いのランニングだ。だが、前橋で迎える初めての夏は照りつける太陽に尻込みし、長く中断期間が続いていた。9月に入った週末、久しぶりにランニングシューズを履いて雨上がりの街に出ると、季節の移り変わりを感じる景色が広がっていた。
桜並木の歩道は黄色くなった落ち葉で埋まり、土と葉っぱが混じり合った独特の秋の匂いが充満していた。草が生い茂る土手からは、「リーリー」とスズムシの鳴き声が響く。日暮れの時間も早くなり、高く澄んだ青空は走っているうちにオレンジ色に染まり始め、前橋公園の高台から見事な夕焼けにしばし見入った。
この秋は、3年ぶりにフルマラソンの大会にエントリーもした。夏の中断期が長かったせいか、まだまだ体力不足は否めないが、群馬の秋の景色を楽しみながら、自分のペースでランニングを楽しみたいと思っている。
(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)