銀杏の想い出 [銀杏の葉の黄色が日増しに鮮やかさを増し、真っ青な冬の空に映える季節になった…]

銀杏の葉の黄色が日増しに鮮やかさを増し、真っ青な冬の空に映える季節になった。この景色を楽しめる時間は、実はとても貴重だ。通勤時に見かけると、嬉しくてあちこちにスマホを向けて撮影している。

各地にはたくさんの銀杏並木があるが、個人的に思い出深い場所がいくつかある。一つ目は、横浜・日本大通りの銀杏並木だ。横浜スタジアムのある横浜公園から横浜港の「象の鼻地区」へとまっすぐ続くこの大通りは、日本初の西洋式大通りと言われ、銀杏の季節にはスケッチブックを広げて椅子に座り、写生をする人たちが通りのあちこちに登場し、通り沿いのオープンカフェは見物客でいっぱいになる。

朝日新聞横浜総局はこの大通り沿いに位置しており、勤務していた3年間、窓から銀杏の木々の色づきを毎年見て過ごしていた。普段は憂鬱な宿直勤務も、この季節は少しだけ楽しみがあった。泊まり明けの早朝、コーヒーを買いに近くのコンビニに出るとき、誰も歩いていない銀杏並木を独り占めできるからだ。あの景色は今も忘れられない。

もう一つは、東京・神宮外苑の銀杏並木。秋のスポーツシーズン、神宮球場や秩父宮ラグビー場で観戦の後、熱気に包まれた人混みの中で見上げる黄色の空は格別だ。

群馬では、公園や学校に立派な銀杏の古木に出会うことが多い。一本一本の銀杏を巡るいろんな想い出を聞いてみたい。銀杏を見上げる度、そんな気持ちになる。

前橋市内も絶好の銀杏日和が続いている

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

掲載内容のコピーはできません。