今シーズン最強寒波が近づいていた月曜日、高崎市の「高崎シティギャラリー」へ行ってきた。お目当ては、25日まで開催していた全日本写真連盟群馬県本部の会員たちによる「新春写真展」だ。県内の写真愛好家たちが県内外で撮影した様々な写真の中から、「この一枚」を出展する新年恒例の企画展らしく、会場には様々な作風の写真パネルがずらりと並び、華やかな空気に包まれていた。
1枚いちまい、作品を見て改めて感じるのは、被写体へ迫る飽くなき情熱だ。一面銀世界の雪原から望む雪の峰々、富士山に降り注ぐ無数の星たち、尾瀬の沼に映る朝焼けの至仏山、夕日を浴びて空気をいっぱいに膨らませる霞ケ浦の帆船、錦秋を背に集落を縫うように走る特急列車、宝石のようにも見える水面の風紋……。どれも写真を通してその場の景色を見せてもらった気分になった。この1枚を撮るために、撮影ポイントを丹念に調べ、機材も体調も整え、絶好の一瞬のために何時間も待つ。そんな撮影者の思いも伝わってくるようで、それぞれの作品の背後にあるドラマも感じて、見入ってしまった。
群馬の祭りを写した作品も興味深かった。天平の風を感じる上野国分寺まつりに、一度見たら忘れられない渋川のヘソ祭り。今年はぜひ現地に行ってこの目で見てみたい。
会場では、会員の方々から撮影の苦労や楽しさを聞かせてもらった。それぞれの自信作を背に、笑顔がキラキラしていた。楽しい展覧会を満喫させてもらった。
(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)