春の風景 [3月に入り、春を身近に感じることが増えてきた…]

3月に入り、春を身近に感じることが増えてきた。霞がかった赤城山や少しずつ伸びる日の長さ、車から見る河津桜の桃色……。朝自宅を出たときに「さむっ」と思わず口にする回数も目に見えて減った。特に今年の春は、ここ数年で見慣れてしまった風景が大きく変わることになりそうだ。

新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが、5月8日から「5類」に引き下げられ、季節性インフルエンザと同等の扱いになる。それに先立ち、政府は3月13日からマスク着用について「個人の判断を尊重する」方針へと転換する。群馬県も国の方針に合わせ、教育現場でも新学期からはマスク着用は求めないことが基本となる。

3月2日の朝日新聞群馬版では、マスクを外して入退場する県立前橋高校の卒業式の写真が大きく掲載されたが、素顔の卒業式の風景を紙面で目にするのは、本当に久しぶりだった。これからコロナ禍で当たり前になっていた日常の風景が、徐々にではあるけれどあちこちで変わっていくのだろうと感じる。

ちょうど3年前、コロナ感染が世界中に拡大していった時期、当時暮らしていた上海ではマスクなしではどこにも行けなかった。地下鉄やコンビニ、自分の住むマンションもマスクなしでは入場が許されず、マスクを忘れた人用に、「マスク売り」があちこちに登場していた。そんな中国で昨年12月にコロナ対策が大幅に緩和されたのには、正直驚いた。

緩和策と感染予防をどう両立させるか、新しい課題とともに、春本番がやってくる。

春の日差しに包まれる前橋公園。桜の開花が今から楽しみだ

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

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