気分は植物学者 [新年度が始まった週末、桜が散る前にと、利根川沿いで花見を兼ねたランニングを…]

新年度が始まった週末、桜が散る前にと、利根川沿いで花見を兼ねたランニングをゆっくり楽しんだ。少しの風でピンクの花びらがひらひらと舞い落ちてくる中で走る爽快感は、満開が早かった今年ならではの贅沢だ。

青空と桜の花びらのコントラストが見事で、上を見上げて歩くことが多いこの季節、ふと足元に目をやると、芽吹いたばかりの様々な植物が歩道沿いに連なっていることに気づいた。アスファルトからにょきっと伸びるスギナとつくし、太陽の日差しをさんさんと浴びて気持ちよさそうに花を咲かせるオオイヌノフグリ、風になびくぺんぺん草、タンポポはすっかり綿毛になっていた。

思わずしゃがみこんで春の植物たちに見入っていると、小学生のころ、春の下校時は遊ぶことに忙しかったのを思い出した。タンポポの綿毛をマイク代わりにして歌ったり、ぺんぺん草で「打楽器」を作ったり、四つ葉のクローバーを暗くなるまで探したり、シロツメグサで花輪を作ったり。5月になると休耕田に群生するスミレで花束を作ったりもした。

そんな楽しかった思い出も手伝って、春になるとみんなワクワクするのかもしれない。芽吹いている葉を見ながら、「これはなんていう名前だろう」とついついスマホで検索しながら、茎や葉脈にまじまじと見入ってしまう。春は誰をも植物学者気分にさせてくれる季節なのだと思った。

春と言えばオオイヌノフグリ
つくしとスギナ
本当に「ペンペン」と鳴るぺんぺん草

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

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