真夏の原動力 [高校野球の夏が、いよいよ始まった…]

高校野球の夏が、いよいよ始まった。勇壮な吹奏楽の演奏に合わせて入場する選手たち、空いっぱいに響き渡る独唱の歌声、そして観客席の手拍子……。開会式の余韻に浸りつつ、グランドで繰り広げられる熱戦に、今年も夢中になっている。

灼熱のグランドに立ち続ける審判委員の方々、笑顔で来場者の対応やグラウンド整備に汗を流す補助員の野球部員たち、連日各球場で大会運営にあたる高野連の先生たち、選手の身体を見守るメディカルスタッフ、いつもおいしい水を球場に届けてくれる業者の方たち……。大会は本当にたくさんの人たちに支えられ、そしてその一人一人の思いが込められていると感じる。だからこそ、すべての試合は輝いているし、1日が終わると球場からエネルギーをもらった気持ちになる。

とはいえ、酷暑の群馬での大会。原動力となるのは、球場で食べるお弁当だ。開会式の日の上毛敷島球場はカツカレー。審判委員長お手製のキュウリの浅漬けとの相性は抜群で、大会が始まった高揚感も一緒に味わった。高崎城南球場の定番は蕎麦と白米の合い盛り弁当。普段なら食べ切れなさそうなボリュームなのに、気づくとあっという間に完食してしまう不思議。桐生の小倉クラッチ・スタジアムはハンバーグとステーキの洋食弁当と、球場近くのあんドーナツが絶品だ。

球場で太陽の日差しを浴びながら、心身ともにエネルギーをぐんぐん蓄えている気分になっている。

開会式の朝、選手たちに包まれる球場
開会式の日のカツカレー
高崎城南球場の「合い盛り」弁当
私にとっての桐生の味は、このお弁当とあんドーナツ

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

 

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