新市長誕生後の政治運営はいかに? [「いやー、驚きだね。あんなに離れるなんて」…]

「いやー、驚きだね。あんなに離れるなんて」。5日昼、前橋市中心部の商店街を歩いていると店の人と客の会話が聞こえました。前日に投開票された前橋市長選。元県議で新顔の小川晶さん(41)が、自民県連、公明県本部が推薦した現職の山本龍さん(64)を制し、初当選しました。得票率は小川さん約57%、山本さん約43%で14ポイントもの差。国政の議席を自民が独占する「保守王国」に衝撃が走りました。

昨秋に小川さんが立候補の意向を固めた頃、山本さんのある有力支持者は強い危機感を漏らしていました。「小川さん人気はものすごく、手ごわい」。当初、小川さんは今回を見送り次の市長選に出る方がメリットがあるのではとの見方もありました。この有力支持者は「今チャンスを逃せば前橋市長になどなれない。彼女の決断力は見事で時局が読める」と敵ながら絶賛していました。

その後、自民党派閥の裏金問題が発覚し、山本さんには逆風に。そもそも前回は保守分裂で山本さんへの支持が割れ、今回は自民支持層を固めることが必須でしたが、小川さんはそこにも支持を延ばしていました。共産側が候補者擁立を見送って現職への批判票も一本化され、山本さん陣営の懸念はすべて現実のものになりました。

山本一太知事は早々に現職支持を表明し、激しい舌戦となりました。双方の溝を埋めるのは簡単ではないかもしれません。ですが、知事はブログで「県都である前橋市との関係は(引き続き)重視していく」とし、小川さんも連携事業の継続に言及し、互いに歩み寄りもうかがえます。安直に「ノーサイド」とはならないかもしれませんが、県民・市民を第一に置いた政治運営を願います。

当選証書を受け取る小川さん =前橋市役所

(朝日新聞前橋総局長 八木 正則)

 

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