災害級 [新型コロナウイルスの変異株が猛威をふるい…]

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新型コロナウイルスの変異株が猛威をふるい、県内でも連日のように300人を超える感染者が確認されています。20日から緊急事態宣言の対象地域にも追加されました。

東京都内では18日時点で、自宅療養と判断された約2万2千人とは別に、入院や宿泊療養の対象と判断された1万2千人以上が自宅で行き先の調整を待っているということです。自宅療養中に危険な状態に陥っても搬送先の病院が見つからない事態も現実に。

地震や豪雨の被災地で、これほど多くの助けを求める人が何日も放置されたままだったら――。そんな光景を想像すると、小池百合子都知事らが強調する「最大級、災害級の危機」という言葉もむなしく響くばかりです。

政治学者の中島岳志・東京工業大教授は「本来は入院拒否とか入院謝絶と言ったり、別の言い方をしたりすべき。といっても医療現場は懸命な活動をされており、問題は政府の側にある」と指摘します。「コロナ禍が『なぎ』の状態になった時に政府はもっとリーダーシップをとって施策を打てたはず。でも、そういうことをやってこなかった。これは政治の問題」。

満床、治療撤退……。救える命が失われる悪夢は、医療専門家らの警告通りです。十分な病床確保へどんな制度や支援策が考えられるか、目詰まりが予想された医療施策への議論を深めておくべきだった国会は、菅義偉政権が強引に閉じたまま、あきれるほど長い夏休み中です。国会議員のみなさん、一人ひとりの命を守るためにやることはないのか。

(朝日新聞社前橋総局長 本田 直人)

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