タカと一緒に仕事がしたい

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鷹匠

フライトフェスタに出場するオスのハヤブサ「クイル」を手に乗せる小川さん

小川 涼輔さん(20)

【鷹匠になりたい】

最初に飼い、大会3連覇したメスのハリスホークの「ルギー」

小さい頃から、鳥が好きで、鳥の図鑑や本をずっと見ているのが好きでした。小学校5年生の時に、テレビのニュースに鷹匠の人が出ているのを見て、「タカが飼いたい、鷹匠になりたい」と強く思うようになりました。

中学1年生の時、ついに父と一緒に茨城県牛久市にある猛禽専門ショップ「猛禽屋」に行って、それまで貯めていたお年玉や小遣いで「この鳥が欲しいんです」と1歳に満たないタカのハリスホークを買ってルギーと名付けて飼い始めました。その猛禽ショップ代表で鷹匠の藤田征宏(ゆきひろ)さんには、飼育方法などを教えてもらっただけではなく、師匠として、調教や大会のことなども教えてもらっています。

タカや自然についてもっと学びたいと自然環境学科がある尾瀬高校に進学して卒業。現在では、タカを使った狩猟をするほかショーや大会に出場したり、害鳥排除など、タカと一緒に仕事をしています。

【フライトフェスタで優勝】

6日の大会に出場するメスのオオタカ

年に1回、千葉県野田市で行われる国内最大級の猛禽類の祭典「フライトフェスタ」で、中学生の時、ハリスホーク障害物リレーの部で、3回連続優勝しました。ショップで買った「ルギー」と一緒に挑戦しました。穴をくぐらせたり、高い止まり木にとまらせたり。おじいちゃんの田んぼで、父が作ったコースや練習台を使って練習しました。

今年は3月6日に開催されます。今回は、ハヤブサのクイルとオオタカ、ハリスホークを連れて行きます。オオタカは、タイムトライアルという50㍍の速さを競う大会に、ハヤブサはルアーを追わせるルアーリングに出場します。大会に向けて、自宅近くで毎日練習をしています。

【訓練して狩猟をさせる】

調教中のハリスホーク「カイロ」

そのほかにも、タカの調教をしてキジやカモを狩猟しています。人に慣れていないないタカの訓練は、大変です。最近は鳥たち皆が慣れてきたので、ずいぶん楽になりました。

猛禽類は触られるのが嫌いなので、かわいくてもベタベタできない。そこは、犬や猫とは違います。性格も鳥によって多少違います。特に飼い始めてから間もないうちは、人や車を怖がり、周りのものに敏感。最初の2、3日は、なかなかエサも食べません。その後、人の手からエサを食べて、だんだん慣らしていきます。暴れなくなったら、外に連れていき、環境に慣れさせます。獲物を捕まえたら、ごほうびのエサをたくさんあげたり工夫をします。調教については、知れば知るほど奥が深く、師匠や周りの人から教わることがますます増えてきました。まだまだ、全然、知らないことばかりですね。

でも、自分は、タカの仕事があってよかった。それがなかったら、何をしていたんだろう、と思うことがあります。

【害鳥駆除という仕事】

スターウォーズにちなんで名付けたオスのハリスホーク「ルーク」

害鳥排除を知っていますか?害鳥排除とは、例えば、「鳥のフンで商品が汚れてしまう」「ベランダの手すりが汚れる」「鳴き声がうるさい」など、ハトやカラスの被害を防ぐために、鳥や巣を排除することです。実際に、「カラスが石をくわえて、上から落とし車のフロントガラスを壊してしまった」とか、「ハトが段ボールを汚してしまった」など個人や企業からの依頼が来ます。特に、高い天井がある工場内では、人の手が届かない鉄骨の上に、巣をつくることが多いです。タカが追いかけるだけではなく、「わな」を使って害鳥を捕まえます。鳥のことを知っている自分たちには、できることが多いと思っています。

最近では、父もタカについて勉強し、仕事を一緒にやるようになりました。まだまだ、勉強の毎日ですが、たまには、父に教えることもあります。これからも、鳥や生き物に関わって生きていたいです。

2001年生まれ、榛東村出身、在住。中学1年生からタカを飼い始め、猛禽類の祭典「フライトフェスタ」の競技会では、2015年から17年までハリスホーク障害リレーで3回連続優勝。県立尾瀬高校自然環境学科(沼田)を卒業し、現在は、父と一緒に害鳥排除にも取り組む。現在、ハリスホーク3羽、オオタカ、ハヤブサ各1羽を飼育、調教をしている。害鳥駆除をする会社ノベルテ(前橋市・代表取締役小川伸一)勤務。

 

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