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ディレクター DIRECTOR
アパレル製造販売会社「Ay(アイ)」代表取締役社長 村上 采(あや)さん(22)
【アフリカで仕事を生み出し、文化交流】
大学2年生だった2019年3月、ゼミの学習の一環として、中央アフリカのコンゴ民主共和国へ渡航しました。フィールドに赴いて、現地の人と協働をして社会を変えていくという勉強です。コンゴ民主共和国では、アフリカンファブリックという色が鮮やかなコットン素材を使って、現地の人が作った服を日本で販売しました。現地の人に仕事の機会を生み、その先にある文化交流もしようというのが目的で、日本でも、すごく反響がありました。
ゼミではなく個人の活動として継続したいという思いから、同年10月、2回目の渡航をしました。「活動をどうやって続けるか」と考えた末、学生とは言っても、遊びではなくビジネスでやりたいという思いから、在学しながらブランドを作り、株式会社「Ay」(前橋市)を立ち上げました。
【コロナで地元を見つめて】
でも、コロナになって、アフリカには渡航ができなくなってしまって。事業を継続するのが難しくなり、ブランドをクローズすることも考えて悩みました。伊勢崎の実家に帰ってきて、「自分は何がしたいのか」を整理したところ、地元の「伊勢崎銘仙」にたどりつきました。
コンゴ民主共和国に行った時も、銘仙の着付け体験をワークショップとして行いとても好評でした。郷土の人から受け継がれた銘仙は、伊勢崎で生まれ育った自分のアイデンティティーにありました。群馬という地域に、ブランドを作っていくことで、新しい価値を生み出して、地域の良さを世界に発信したいと考えました。
【どんなものを作っている?】
私が着用しているのは、シルク100%の素材を先染めした銘仙に、サテンの生地を縫い合わせたブラウスで、優しい着心地に仕上げました。このように、今では着られなくなった銘仙の着物に、デザインやアイデアといった新たな付加価値を加えて「アップサイクル」をすることで、新たなワンピースやブラウスとしてオンラインストアで販売しています。
銘仙は、北関東を中心に大正から昭和初期に普段着やおしゃれ着として全国の女性に親しまれた絹織物です。近年は、織物産業が衰退し、生産が難しい状況にありますが、そのなかでも服に使用するのは「併用絣」です。普通の着物は縦糸に柄を付けて、横糸は単色なのですが、「併用絣」は、縦糸と横糸の両方に柄を付けた高度な技術の織り方です。それができたのは伊勢崎だけといわれています。伊勢崎の技術はすごいです。そこにフォーカスを当てられるようなブランドにしたいなと思っています。
【文化を織りなおす】
在は、オンラインストアの他、直接実物が見られるポップアップストアを東京などで、月に2回ほど行っています。今後は、県内でも展示販売できるストアをやれたら、と思っています。
「Ay」のコンセプトは「文化を織りなおす」としています。廃棄されるものを活用するという環境問題も考えたサスティナブルな取り組みにしていければ。今度は使われていない「レース」にも着目しています。文化に新しい価値を添えて、今後も発信していきたいです。
【コロナでもオンラインで】
ロナ下では、不自由なこともたくさんありますが、オンラインでは簡単につながれるようになりました。今までなら、なかなか会えなかった人とも一緒に仕事ができそうです。活動が地域だけに留まってしまうと、その先が見えにくくなってしまうので、できるだけ大きい視野で世界を見ながら、仕事をしていきたいです。 (聞き手/谷 桂)
■「Ay」
公式ウェブサイト https://ay.style/
インスタグラム with_ay